インタラクティブ配線
親記事: 配線
配線とは、各ネット内のノード間の接続経路を定義するプロセスです。この経路は、PCB設計オブジェクト(トラック、アーク、ビアなど)を銅層上に配置して、ノード間の連続した接続を作成することによって定義されます。これらのオブジェクトを一つずつ配置して接続経路を構節するのではなく、インタラクティブに配線します。
PCBエディターでは、インタラクティブ配線は賢いプロセスです。コマンドを起動した後、パッドをクリックして配線されるべき接続を選択します。すると、インタラクティブルーターはそのパッドから現在のカーソル位置までの経路を定義しようと試みます。
配置されるトラックのサイズは、適用される配線幅の設計ルールと現在のトラック幅モードの設定によって制御されます。インタラクティブルーターが既存のオブジェクト(他のネット上のパッドなど)に対してどのように反応するかは、現在の配線衝突解決モードに依存します。オブジェクトに遭遇した場合、インタラクティブルーターは迂回、抱擁して押し込む、押し込む、無視する、または停止する衝突解決戦略を適用してこの衝突を処理します。
インタラクティブ配線は以下で実行できます:
- 単一のネット - Route » Interactive Routing、または
- 差動ペアとして定義された2つのネット - Route » Interactive Routing、または
- 選択されたネットのセット - Route » Interactive Multi-Routing。
この記事では、単一のネットをインタラクティブに配線するプロセスと、そのプロセスを制御する設定について説明します。差動ペア配線や制御インピーダンス配線など、特殊な配線技術に関する情報を探している場合は、配線ページを参照してください。
接続性の理解
インタラクティブルーターを理解する上で重要な部分は、PCBエディターでの接続性がどのように管理されているかを理解することです。
接続線は、適用可能な配線トポロジールール(デフォルトは最短)に従って、ネット内の各パッド間に自動的に作成されます。
この設計では、GNDと5Vのネットは接続線の色が異なります。
設計が回路図からPCBに転送されるとき(Design » Update PCB)、コンポーネントはPCBワークスペース上に配置され、各ネット内でどのパッドが互いに接続されているかを示す接続線が表示されます。
- ネット内の接続線の配置、またはパターンをトポロジーと呼びます。トポロジーは、適用される配線トポロジー設計ルールによって定義され、デフォルトルールはすべてのネットを対象とし、トポロジーは最短に設定されています。
- PCBエディタには、ワークスペース内のすべてのオブジェクトの位置を常に監視し、ネットタイプのオブジェクトが編集されたとき(オブジェクトが移動された場合を含む)に接続線を更新するネットアナライザーが含まれています。例えば、コンポーネントが移動されたとき、そのコンポーネントからの各接続の遠端は、適用される設計ルールによって定義されたトポロジーを維持するために、あるターゲットパッドから別のターゲットパッドへと跳ぶことがあります。この例は、以下のビデオで3V3ネットについて示されています。このネットはトポロジーが最短です。
R7が移動すると、3V3接続ラインが跳ね回り、全体の接続長を最短に保つために自動的に再配置される様子に注目してください。
- ネットアナライザーは、例えば、接続が配線されたとき、その2つのパッドの間の接続線が自動的にネットアナライザーによって削除されるなど、ネットに接続されたすべてのオブジェクトを監視します。また、ネットが部分的に配線されている場合、ネット上の2つの最も近いルートポイントの間に短い接続線が表示されます。
- 接続線を無視して、異なる場所から/へネットを配線することを選択しても問題ありません。配線が終了するとすぐに、ネットアナライザーが実行され、以下のビデオに示されているように、もはや必要ない場合は接続線が削除されます。
- 接続線の配置は配線トポロジーデザインルールによって決定されるため、接続線がトラックの端に接続されずに、ネット内の他の点に近い別の点に接続される可能性があります。好みに応じて、Smart Track EndsオプションをPreferencesダイアログのPCB Editing – Generalページで有効にすることで、接続線をトラックの端に強制的に接続させることができます。下のビデオでこれを実演しています。ネットに属するオブジェクトを編集しているとソフトウェアが認識するアクションを実行することで、ネットアナライザを強制的に実行し、接続線を更新させることができます。編集アクションには、オブジェクトの移動、オブジェクトをクリックして保持する、またはダブルクリックしてそのオブジェクトのプロパティをプロパティパネルに表示させることが含まれます。
回路図での接続がどのように作成されるかについてもっと学びたい場合は、接続の作成の記事を参照してください。
ネットを見つけて接続線の色を制御する
メイン記事: 配線、ボード上のネットを見つける
配線されていないボードは、ボード全体に交差する接続線の塊で見ると圧倒されることがあります。配線を行う上での良いアプローチは、重要なコンポーネントやクリティカルなネットを簡単に特定できる回路図から作業を始めることです。回路図のコンポーネントやネットから直接クロスセレクトやクロスプローブを行い、PCB上の同等のアイテムをハイライトできます。詳細については、回路図とボードの間で作業する記事を参照してください。
接続線の表示は、関心のないネットをマスキングまたは非表示にすることで制御することもできます。重要な接続線の色を設定することで、配線プロセスの管理にも役立ちます。基板上のネットを見つけるセクションを参照して、配線記事で詳細を学んでください。
配線中に配線幅とビアサイズを制御する
インタラクティブ配線コマンドを実行し、配線を開始するためにクリックすると、最も近いパッドから現在のカーソル位置までの一連のトラックオブジェクトが作成されます。これらのトラックの幅は、配線中にステータスバーに表示される現在のトラック幅モード設定によって決定されます(下のビデオで示されています)。
配線幅のソース設定には4つの可能性があります:
- デザイナーの好みの幅(ユーザー選択);または
- 適用可能な配線幅の設計ルールの最小値、好ましい値、または最大値。
ユーザー選択 / 最小ルール / 推奨ルール / 最大ルール の選択は、 the Track Width Mode drop-downを使用して、PCB Editor - Interactive RoutingページのPreferencesダイアログで選択および保存されます。
配線中にトラック幅モードを変更する
インタラクティブ配線中に3のショートカットキーを押すことで、四つの配線幅オプションを切り替えることができます。現在のモードはステータスバーに表示されます。コマンド中のショートカットを忘れた場合は、Shift+F1を押して、コマンド実行中にリストを表示します。
トラック幅モードを変更すると、適用される設計ルール(最小/推奨/最大)とユーザー選択で定義された値の間を移動します。
ユーザー選択を選択すると、トラック幅は次のようになります:
- Pickup Track Width from Existing Routingオプションが有効であり、かつクリック位置が既存の配線上にある場合、既存の配線の幅、または
- 最後に使用したユーザー選択幅が、配線しているネットに適用されるルールで定義された範囲内にある場合。範囲内にない場合は、ルールで許可されている範囲内の最も近い値に幅が調整されます。
配線中にユーザー選択の配線幅を変更する
配線中に幅を変更するには、以下のショートカットが使用されます。なお、インタラクティブ配線幅ソースのオプションがルールベースの幅のオプションのいずれかに設定されていた場合、これらのショートカットのいずれかが使用されると、そのオプションはユーザー選択に変更されます。
- Shift+W - 配線中にこのショートカットを使用して、幅の選択ダイアログを開きます。新しい幅をクリックしてダイアログを閉じ、選択した幅で配線を続けます。利用可能な幅は、PreferencesダイアログのPCB Editor - Interactive RoutingページでFavorite Interactive Routing Widthsボタンをクリックして編集できます。
- Tab - 必要な幅がお気に入りとして定義されていない場合は、このショートカットを使用します。Tabを押すと、インタラクティブ配線モードでプロパティパネルが開きます。現在の編集セッションが一時停止し、パネルが現在の幅で開きます。新しい値を入力してEnterを押すと、新しい幅で配線を続けます。または、新しい幅の値を入力した後、一時停止ボタンのオーバーレイをクリックして配線を再開します。値を編集せずに配線を再開するには、Escを押します。
配線中に幅を変更するこれらの技術のいずれかを使用する場合、Track Width Modeは自動的にUser Choiceに変更されます。
配線トラックの幅は、適用される配線幅設計ルールで指定された最小値と最大値の間でなければなりません。ルールの最小設定と最大設定で定義された範囲外の値に幅を変更しようとすると、ソフトウェアは自動的に最小-最大範囲内にクリップバックします。
配線中のレイヤー変更とビアの追加
配線中にインタラクティブにレイヤーを変更する方法は2つあります:
- 数字キーパッドの*キーを押してください。そのキーを押すごとに、次の利用可能なシグナルレイヤーに移動します。
- Ctrl+Shift+ホイールスクロールのショートカット組み合わせを使用します。Ctrl+Shiftを押しながらマウスホイールを前にスクロールして、利用可能なシグナルレイヤーを下に移動します。マウスホイールを後ろにスクロールして、利用可能なシグナルレイヤーを上に移動します。このショートカットは、いつでもレイヤーを変更するために使用できます。現在配線していない場合でも、このショートカット組み合わせは有効なレイヤーをすべてステップスルーします。
最後のハッチングされたセグメントが空の先読みセグメントと出会う最後の角には、自動的にビアが追加されます。配線幅と同様に、ビアのサイズは現在のビアサイズモードによって決定されます。下のビデオで示されています。このモードは、Interactive Routing Width Sourcesオプションで事前に設定できます。
レイヤーを変更するには Ctrl+Shift+Scroll ショートカットを使用し、ビアサイズの選択を切り替えるための4つのショートカットを使用します。
配線中にビアサイズモードを変更する
配線幅と同様に、インタラクティブ配線中にビアサイズを選択するための4つの可能なオプションがあります:
- 設計者の好みのビアサイズ(ユーザー選択);または
- 適用可能な配線ビアスタイル設計ルールの最小推奨値または最大値。
インタラクティブ配線中に4のショートカットキーを押すことで、4つのビアサイズオプションを切り替えることができます。現在のモードは、上のビデオで示されているように、ステータスバーに表示されます。
配線中にユーザー選択ビアサイズを変更する
配線中にユーザー選択ビアサイズを変更するには:
- Shift+V - インタラクティブ配線中にこのショートカットを押すと、Choose Via Sizeダイアログが開きます。このダイアログでは、現在のデザインで使用されている全てのビアサイズが自動的にリストアップされます。ビアサイズを選択してOKをクリックすると、そのサイズがユーザー選択のビアサイズとして設定されます。
- Tab - 配線中にトラック幅を変更するだけでなく、Tabを押して インタラクティブルーティングモードでプロパティパネルを開くと、ビアサイズも変更できます。トラック幅と同様に、入力するサイズは適用される配線ビアスタイルの設計ルールで定義された最小値と最大値の間でなければなりません。
配線中のビアスタックの変更
複数のビアタイプが定義されている場合、レイヤー変更時にそのレイヤー変更に利用可能なビアタイプが複数存在することがあります。例えば、トップレイヤーとmid1レイヤーの間にブラインドビアが利用可能であり、同時にトップ-ボトムビアも利用可能な場合があります。トップレイヤーからmid1レイヤーへのレイヤー変更を行う場合、6のショートカットを押すことで、可能なビアタイプのオプションを順に切り替えることができます。ビアタイプの定義ページで、より詳細な情報を参照してください。さらに、最後に使用したビアスタックは、次に配線するネットのデフォルトとして保持されます。デフォルトのビアスタックは、現在の編集セッションのみで保持されます。
SMDパッドエントリーの制御
SMD To Corner および SMD Entry 設計ルールは、配線プロセスに影響を与える可能性があります。配線プロセスを開始する前に、必要な設計ルールを設定して、SMDパッドへのトラックの入出を制御できるようにする必要があります。PCB Rules and Constraints Editorダイアログを開くには(メインメニューからDesign » Rulesをクリック)、SMT 設計ルールの下で SMD To Corner および/または SMD Entry を選択し、必要な値を入力します。
SMDからコーナーへの設計ルールでは、コーナーまでの距離はトラックの幅または適用可能なクリアランスルール(大きい方)よりも大きくなければなりません。それより小さい場合は、以下の3つの方法で対応できます:
- パッド入力を行う際にSpacebarを押します。これにより、最後のトラックセグメントをパッドの中心に沿って配置するのに役立ちます。
- パッドに近づけて配線を確定させた後、グロッシングを無効にして(Ctrl+Shiftを押し続ける)パッド入力を行います。(グロッシングは一時的に無効化できます。)
- 複数の可能な入力でパッド入力を行う場合、マウスをパッド内に移動させます。これにより、SMD入力をどこにしたいか選択できます。
配線中に自動的に配線幅を変更する
現代のコンポーネント技術における一般的な課題は、基板を横断する際にネットを異なる幅で配線する必要があることです。例えば、BGAに入るか出る際には、より狭いエスケープルートが必要になることがよくあり、BGAのフットプリントの端で好ましい幅に切り替えます。
これは、このページで以前に説明された技術を使用してインタラクティブ配線中に手動で達成することができます。また、配置ルームとルームベースの配線幅ルールを追加することにより、この幅切り替え動作を自動化することもできます。これが行われると、ルームに入るか出るかに応じて、トラックは自動的に細くなったり広がったりします。
この機能は以下のように動作します:
- 狭いルートが必要なボードの領域に対して配置ルームルールを定義します。
- ルーム内のルートの幅を定義する、より高い優先度を持つ幅制約ルールを定義します。このルールは以下で説明するTouchesRoomスコープを使用します。
これが完了すると、以下のビデオで示されるように、配置ルームに入るか出るかによって幅が自動的に変更されます。
ルームベースの配線には、まず配置ルームを定義する必要があります。配置ルームはデザインルールでもあります。デザインルールダイアログからルールを作成してからルームを定義することもできますが、インタラクティブにルームを作成する方が効率的であり、Altium Designerがデザインルールを自動で作成します。
ルームルールの作成
Design » Roomsサブメニューには、ルーム定義コマンドがいくつかあります。
選択されたコンポーネントの周りに作成されたルームは、以下の結果をもたらします:
- 選択したコンポーネントのコンポーネントクラスが作成されます。Design » Classesでクラスを確認し、必要に応じてコンポーネントクラスの名前を更新してください。
- 配置ルーム定義の設計ルールが作成されます。このルールは、ステップ1で作成したコンポーネントクラスを対象としています。コンポーネントクラスの名前を変更した場合、ルールの範囲(フルクエリ)も一致するように更新する必要があります。
- 配置ルーム定義の設計ルールには、自動的に名前が付けられます。必要に応じて名前を更新し、他の設計ルールでルームを参照する際にはその名前をメモしておいてください。
- 必要に応じてルームのサイズを変更します。これを行うには、一度クリックして選択し、次に頂点をクリックして保持し、角または辺を移動します。頂点をクリックして移動した後、Shiftを押して対称的なリサイズを行うこともできます。
この例では、ルールがコンポーネントクラスではなく、特定のBGAフットプリント('BGA50P18X18-180')を対象として設定されています。
ルームベースの配線ルールの作成
異なる配線幅が必要なエリアを定義する部屋が定義されたら、その後に配線幅のルールを作成できます。下の画像は、配線がRoom_BGAという名前の部屋に触れるたびに、PCBエディタに配線幅を0.075mmに設定するよう指示する、配線幅ルールの例を示しています。Altium Designerのインタラクティブ配線エンジンは、このようなルールを満たすために、現在のトラックセグメントを自動的に終了させ、部屋の境界で新しいセグメントを開始します。
Room_BGA内の全てのネットの幅を0.075mmに設定するための配線幅設計ルール。このルールがツリーで最初に表示されていることから、これが最優先の配線幅ルールであることがわかります。
配線されたコンポーネントの位置調整
コンポーネントの再配線
基板の配線を行う際、新しい配線のためのスペースを作るために、配線されたコンポーネントの位置を調整する必要があることは珍しくありません。この機能は、PreferencesダイアログのPCB Editor - Interactive Routingページのドラッグ領域でコンポーネント再配線チェックボックスを有効にすることでアクセスできます。
移動プロセス中には、以下のショートカットを使用して指定されたアクションを呼び出すことができます:
- Component Re-route Mode (Shift+R) - ドロップ後の接続復元を切り替えます。移動セットが解放された後、ソフトウェアは切断されたネットを再接続するためにコンポーネントを再配線しようと試みます。Shift+R ショートカットを使用して再配線動作を抑制するか(またはPCB Editor - Interactive Routingページの Preferencesダイアログで コンポーネント再配線 オプションを無効にします)。現在の状態は、ヘッズアップディスプレイとステータスバーに表示されます。
-
Change Component Selection (Shift+Tab) - ドラッグ中でも、移動しているオブジェクトのセットは変更できます。Shift+Tab を押して、以下の選択セットを順に切り替えます:
- コンポーネントのみ、その後
- コンポーネント + ビアファンアウト + エスケープ + インターコネクト、その後
- 初期選択セット(前の2つと異なる場合)、その後
- コンポーネントのみに戻る。
- Display / Hide Connection Lines (N) - N ショートカットは、接続線なし、パッド間接続線、ルート間接続線の3つの状態を切り替えます。最後のモードは、接続線が切断され、選択されている部品が移動された後に復元される可能性がある場所を示します。
- Change Gloss Effort (Shift+Ctrl+G) - 利用可能な配線グロス努力オプションを通じてサイクルし、コンポーネントの再配線中に適用されるグロスの量を制御します。
関連する配線でのコンポーネントの移動
Move component with relevant routingオプションをPCB Editor - Interactive Routing ページのDragging領域で有効にすると、関連する配線(コンポーネント + ビアファンアウト + エスケープ + インターコネクト)を伴うコンポーネントの移動アクションを開始できます。Shift+Tabショートカットを使用して、上記のセクションで説明されているように選択セットをサイクルします。
コンポーネントのみが選択された状態でコンポーネントの移動アクションを開始するには、このオプションを無効にします。移動が開始される前に関連する配線オブジェクトのセットが検出されるため、オプションが無効の場合にShift+Tabを使用して選択セットをサイクルすることはできません。
インタラクティブルーターフォローモード
配線中の一般的な要件は、既存の形状や輪郭に沿ってルートを配置することです。その輪郭は障害物、切り欠き、ボードの端、または既存のルートである可能性があります。
新しいルートが輪郭に沿って配置されるように、慎重かつ正確なマウス操作とクリック動作で「輪郭に対して」配線する必要があるのではなく、Followモードでは、輪郭を指名するためにクリックし、その後、カーソルを輪郭に沿って動かしてルートの方向を定義します。Followモードでは、インタラクティブルーターが適用可能な設計ルールに準拠して、新しいルートが輪郭に沿うようにトラックとアークのセグメントを追加します。この機能は、曲線のルートを配置する際に特に便利です。
この機能を使用するには:
- インタラクティブ配線を起動し、接続を選択してクリックし、必要なコーナースタイルに切り替えます(Shift+Spacebar)。
- 輪郭に沿って進むには、必要なオブジェクトの上にカーソルを置き、Shift+Fを押します。インタラクティブルーターはカーソルの下のオブジェクトを検出し、フォローモードに切り替わります。
- 必要な方向にカーソルを移動します。ソフトウェアは自動的にトラックとアークセグメントを配置して、その方向に沿って輪郭をたどります。
- 左クリックしてフォローセグメントを配置し、フォローモードを終了します。
- 必要に応じてルートを完成させます。
配線衝突解決モード
前述の通り、インタラクティブルーターがPCBワークスペース内の既存のオブジェクト(他のネット上のパッドなど)にどのように反応するかは、現在の配線衝突解決モードに依存します。PreferencesダイアログのPCB Editor - Interactive Routingページで、配線中に利用可能な衝突解決モードを設定します。
衝突解決モードには以下が含まれます:
- Ignore Obstacles – 既存のオブジェクトを無視して(配線を自由に配置できます)。違反は強調表示されます。
- Push Obstacles – 新しいルートのために既存のトラックやビアを押しのけてスペースを作ります。
- Walkaround Obstacles – 既存のオブジェクトの周りに経路を見つけようと試みます。他のオブジェクトへのクリアランスは、適用されるクリアランス設計ルールによって定義されます。
- Stop At First Obstacle – このモードでは、配線エンジンは邪魔になる最初の障害物で停止します。
- Hug And Push Obstacles – このモードでは、配線エンジンは既存のオブジェクトに密着して追従し、配線されているトラックに十分なスペースがない場合にのみそれらを押しのけます。
- AutoRoute on Current Layer – このモードは、インタラクティブルーターに自動ルーターの知能を適用し、押しのけるか迂回するかを自動的に選択して、全体のルート長を最短にします。
- AutoRoute on Multiple Layers – このモードは、インタラクティブルーターに自動ルーターの知能を適用し、押しのける、迂回する、またはレイヤーを切り替えることを自動的に選択して、全体のルート長を最短にします。
配線中のクリアランス境界の動的表示
インタラクティブ配線中にルートが隙間を通り抜けられない理由について疑問に思ったことはありますか?それは不正確なルール制約なのか、それとも間違ったルールが対象のネットを狙っているのでしょうか?設計ルールの影響を解釈し理解するのに役立つように設計された、クリアランス境界の動的表示機能は、インタラクティブ配線中にどれだけのスペースが利用可能かを示します。
クリアランス境界の表示機能には2つのモードがあります。全てのオブジェクトの周りにシェーディングされた進入禁止エリアとしてクリアランス境界を表示するか、クリアランス表示エリアをカーソルの周りの円形ゾーンに縮小します。
既存のワークスペースオブジェクトの周囲のクリアランスは、配線中に動的に表示されます。Ctrl+W ショートカットを使用して、配線中に有効/無効を切り替えることができます。
クリアランス境界の動的表示を有効にする
Preferencesダイアログの PCB Editor - Interactive Routingページ でDisplay Clearance Boundariesオプションを有効にします。
PCB Editor - Interactive RoutingページのPreferencesダイアログでオプションを有効にします。
- Display Clearance Boundariesオプションが有効になっている場合、既存のオブジェクト + 適用されるクリアランスルールによって定義された禁止クリアランスエリアが、インタラクティブに配線する際にローカル視野円内でシェーディングされたポリゴンとして表示されます。
- Reduce Clearance Display Areaオプションが無効の場合、禁止クリアランスエリアは以下のビデオに示されているように、レイヤー全体にわたって表示されます。
配線品質の向上
PCBエディタには、既存の配線の品質を向上させるための強力なツールが含まれています。これらのツールは、グロッシングとリトレーシングとして知られており、Routeメニューで利用可能です。
- Gloss - トレースのジオメトリを改善することに焦点を当て、コーナーの数を減らし、全体的なルートの長さを短縮しようとします。Glossは、既存のトレース幅と差動ペアのギャップを保持します。
- Retrace - 全体的なジオメトリが満足であると仮定し、代わりに配線が設計ルールを満たしているかどうかを検証することに焦点を当てます。グロスが既存のトレース幅とペアギャップを保持するのに対し、Retraceはそれらを優先に変更します。設計ルールが変更され、その変更を既存の配線に適用する必要がある場合に、リトレースは優れたツールです。
GlossやRetraceについてもっと学びたい方は、ポストルートのグロッシングとリトレーシングのページをご覧ください。
以下の選択技術のデモンストレーションセクションにあるビデオには、グロッシングの簡単なデモンストレーションが含まれています。
配線選択の戦略
選択は、既存の配線を扱うを含む、設計プロセスのすべての領域の中核的な活動です。グロッシングを行う前でも、いくつかの配線を削除したい場合でも、まず配線を選択する必要があります。
内側を選択または接触しているものを選択
PCBエディタでは、選択は選択矩形の内側にあるオブジェクトか、選択矩形に接触しているオブジェクトのどちらかになります。これは、選択矩形を描くときにマウスを動かす方向によって制御されます:
内側を選択 - 左から右へ青い矩形をドラッグして、選択矩形の完全に内側にあるすべての表示されている、ロックされていないオブジェクトを選択します。 | |
接触を選択 - 右から左へ緑の矩形をドラッグして、選択矩形に接触するすべての表示されている、ロックされていないオブジェクトを選択します。 |
選択範囲の拡張
接触している多数のオブジェクトを選択する必要があるのは一般的な状況です。例えば、配線されたネットのトラックセグメントや、配線されていないネットの接続線などです。互いに平行に走るトラックセグメントのセットを接触しているものを選択する技術を使って簡単に選択することは可能ですが、ルート全体を対話的に選択するのは難しい場合があります。
しかし、一つまたは複数のトラックセグメントを選択し、接触しているトラックセグメントを含むように選択範囲を拡張することで、これを簡単に実現できます。これは、下のビデオで示されているように、Tabキーを使用して行います。
配線選択技術のデモンストレーション
その他のインタラクティブ配線オプションと機能
インタラクティブルーターには、PreferencesダイアログのPCB Editor - Interactive Routingページで設定される他の多くのオプションがあります。これらのオプションの役割を理解することは、インタラクティブルーターを最大限に活用するために重要です。
Restrict to 90/45
- Shift+Spacebarを押すと、利用可能な配線コーナーモードを切り替えることができます。これには、アークや任意角度モードが含まれます。これらのモードが不要な場合は、90/45に制限オプションを有効にして、コーナーを90度または45度に限定します。
Follow Mouse Trail
- このオプションを有効にすると、ルートパスがカーソルで描かれたパスに沿って進むようになります。
- 5のショートカットキーを使用して、マウスの軌跡を追う機能をオン/オフに切り替えます。 5のショートカットキーを使用する際は、機能がオンかオフかを判断するためにTabキーを使用してプロパティパネルを開くことをお勧めします。
Automatically Terminate Routing
- このオプションを有効にすると、ターゲットパッドに到達した時点で現在のネットを自動的にドロップします。このオプションが有効になっていない場合は、右クリックまたはEscキーを使用して現在の接続をドロップします(通常、このオプションは有効に設定されています)。
Automatically Remove Loops
- 既存のルートパスは、新しいパスを配線することで再定義できます。既存のルートパスに沿ってインタラクティブに配線を開始し、新しいパスを配線して、必要に応じて古いパスと再び合流させます。新しいパスが既存のパスと合流するとすぐに、Automatically Remove Loopsオプションが有効になっている場合、冗長なループ内のすべてのセグメントが自動的に削除されます(通常、このオプションは有効に設定されています)。
- 特定のネットは、電源ネットやグラウンドネットのように、ループ(同じ点への複数のパス)が必要になる場合があります。これらのネットについては、Automatically Remove Loops機能を選択的に無効にすることができます。これは、PCBパネルでネット名をダブルクリックして(パネルモードをNetsに設定)、Edit Netダイアログを開き、そのネットのみに対してRemove Loopsオプションをオフにすることで行います。
- ループ削除 - 配線中にShift+Dショートカットを押してループモードを許可する切り替えを行います。インタラクティブルーターは、このモードで切り替えられるまでその状態を維持します(切り替え機能はインタラクティブ配線中のみ利用可能)。ループ削除が再度有効にされ、ループを含むネットが再配線され続ける場合、既存のループは保持されます。
Routing Gloss Effort
- インタラクティブ配線中にカーソルを移動すると、配線エンジンは常に最後のクリック位置から現在のカーソル位置までの最短経路を見つけようとします。配線をどれだけスムーズにし、角の数を減らせるかは、Routing Gloss Effortによって決まります。
- 現在のRouting Gloss Effort設定はステータスバーに表示されます。Ctrl+Shift+Gのショートカットを使用して設定を切り替えます。設定が強いほど、最終ルートの角の数が少なくなります。現在のモードはヘッズアップディスプレイとステータスバーに表示されます。
- インタラクティブ配線中にCtrl+Altキーを押し続けることで、グロスを一時的に無効にすることもできます。
- グロッシングは、背景で実行される計算であり、集中的なタスクです。特に複数のネットを同時に配線する場合、インタラクティブルーターのパフォーマンスに影響を与えることがあります。グロス設定が強いほど、計算を実行するのに時間がかかります。
Look Ahead Behavior
- ネットのインタラクティブ配線中に、現在配線しているトラックセグメントは、ハッチングされたものか空(ホロー)のものとして表示されます。ハッチングされたセグメントは、次のマウスクリックで配置されます。
- ホローのセグメントは「先読みセグメント」と呼ばれます。その目的は、デザイナーが前もって計画を立てること、つまり次にどこにセグメントを配置するかを、それにコミットすることなく検討できるようにすることです。先読みモードは、配線中に1のショートカットキーを使用してオン/オフが切り替えられます。
インタラクティブ配線中に利用可能なショートカット
- 数値キーパッドの*を使用して、次に利用可能な配線レイヤーに切り替え、ビアを挿入します。
- Ctrl+Shiftを押しながらマウスホイールをスクロールして、次に利用可能な配線レイヤーに切り替え、ビアを挿入します。マウスホイールのクリックごとに1レイヤー移動します。
- Shift+Rを使用して、利用可能な配線衝突解決モードを順に切り替えます。
- Shift+Spacebarを使用して、利用可能なコーナーモードを順に切り替えます(詳細を学ぶ)。コーナーオプションのアークについては、キーボードの"," と "." ボタンを使用してアークサイズを減少または増加させます。
- Spacebarは、最後のコーナーの方向を切り替えます。
- Backspaceを使用して、最後に配置したセグメントを削除します。
- Shift+Wを使用して、幅を選択ダイアログを開き、配線幅を変更します。
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次に利用可能な信号レイヤーに切り替えてビアを挿入するには:
- 数値キーパッドの*キーを押すか、
- Ctrl+Shift+Wheel Scrollのショートカット組み合わせを使用します。
- スルーホールパッドまたはビアから配線を開始して、間違ったレイヤーにいることに気づいた場合は、Lショートカットを押して、ビアを追加せずに利用可能な信号レイヤーを順に切り替えます。
- Ctrl+Clickを使用して、インタラクティブルーターに現在のルートを自動的に完了するよう指示します。
- 配線中にShift+F1(またはチルダ(~))を押して、インタラクティブ配線のショートカットを表示します。
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レイヤー変更中に利用可能なコマンドは:
- Ctrl+Lを使用して利用可能なレイヤーのリストを開き、目的のレイヤーをクリックして選択します。
- 1から10までの数字パッドキーを使用して、そのレイヤー番号に直接切り替えます。
- プロパティパネルを開いて、レイヤー変更に使用されるビアのZ平面ビューを表示します。
すべてのエディターのショートカットの完全なリストについては、ショートカットキーの記事を参照してください。
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配線(親記事) 差動ペア配線 ActiveRoute ポストルートのグロッシングとリトレーシング 制御インピーダンス配線
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