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Altium 導入事例

Harmonic Bionics社のロボット技術で進化する最先端リハビリ

「短期間でこれだけ多数の基板設計は、Altium Designerなしでは実現しませんでした。3DモデリングとMCADの互換性によって、基板の再設計と機構的な変更を抑え、機構モックアップをすばやく正確に作成できました。

Harmonic Bionics
シニア ハードウェア エンジニア
Mike Duncan氏

 

世界保健機関 (WHO) は、脳卒中、アルツハイマー病、てんかん、多発性硬化症、パーキンソン病など、600種類以上の神経疾患の患者数が数億人に上ると推定しています。

2017年、世界の脳卒中患者数は1億420万人でした。生存者にとって、回復への道のりは困難であり、療法士、医師、臨床医の継続的な支援と広範に及ぶリハビリテーションを受ける必要があります。脳や脊髄を損傷する可能性がある脳卒中などの突発性の病気が発症した後、患者が運動機能を取り戻すには、神経可塑性 (新しい行動に適応し、本質的に自身を再配線する脳の能力) を回復するための反復運動が不可欠になります。

テキサス州オースティンを拠点として知能ロボットを開発するHarmonic Bionicsは、療法士と患者がこの困難な課題を克服できるよう、患者の回復を最大化するための革新的な新しい方法を導入しました。それが、Harmony SHRです。

Harmonic Bionicsの電気・ソフトウェア エンジニアリング担当ディレクターであるKalavati Bhashyam氏は次のように述べています。「当社の主力製品であるHarmony SHRでは、早期介入、強度の向上、そして斬新な運動を通じた患者固有の意図に基づく治療の採用を通じて、上肢の治療を最適化することが目的となっています」

Harmonic Bionicsのシニア ハードウェア エンジニアであるMike Duncan氏も次のように説明します。「Harmony SHRは本質的に、理学療法士が使用してきた反復運動に取って代わるため、各セッションで機器によって収集される客観的なデータを使って、治療プロトコルを観察してカスタマイズする時間を増やすことができます。」

この機器は2016年、テキサス大学オースティン校のReNeu Robotics Labで生まれました。開発の指揮を執ったのはHarmonicを創設した2人の研究者、臨床研究責任者のAshish Deshpande博士、そして最高技術・執行責任者のYoungmok Yun博士です。Harmony SHRの設計は軽量、かつ柔軟な外骨格を特徴としており、上肢の神経リハビリテーションの分野で大きな期待が寄せられています。

研究室の枠を超えてHarmony SHRの商品化を進める中、Harmonic BionicsはツールとしてAltium Designerを活用し、複数の新製品開発を実現させています。

 

 

「他のECADソフトウェアでは、基板ごとの設計プロセスに平均で約5〜6時間かかっていましたが、今ではほぼ即座に完了します。Altium Designerでは基板とコネクタの位置合わせを行って干渉の問題を低減できるため、マルチボードアセンブリがさらに簡単になりました。」

Harmonic Bionics
シニア ハードウェア エンジニア
Mike Duncan氏

製品開発を容易に加速化

主に世界的なコロナウイルスのパンデミックが原因で、ReNeu Robotics Lab以外の場所でのHarmony SHRの導入はまだ実現していないものの、Duncan氏とチームのメンバーは配置用のロボットのほか、リハビリテーションの早い段階で患者に対応するための新しい非着座モデルの開発に懸命に取り組んでいます。

Bhashyam氏は次のように説明します。「私たちは現在、障害の程度に関係なく、多くの患者がHarmony SHRを利用できるように、新しいロボティクスに取り組んでいます。また、潜在的な自宅中心の技術も検討しています。ただし、現在の主な目的は、最新の商用モデルを病院のシステム、リハビリテーションクリニック、そして外来治療センターに提供することです。」

Harmonic Bionicの主任電気設計者であるDuncan氏にとって、Altium Designerは非常に有益なツールになっています。「私たちが抱えていた主な課題は、短時間で多くのプリント回路基板を設計することと、 ロボットの小さなスペースに基板を収めるための厳しい機構的要件を満たすことでした。」

平均的なロボットには、それぞれに異なる24個の基板のほか、各ユニットの複雑なギアシステムを駆動するカスタム設計のモーターが組み込まれています。Duncan氏の場合、Altium Designerを使用して1日に4個もの基板を設計しています。

「短期間で多数の基板を設計しましたが、これはAltium Designerなしでは実現しなかったでしょう。3DモデリングとMCADの互換性によって、基板の再設計と機構的な変更を少なく抑え、機構モックアップをすばやく正確に作成できました。

Duncan氏がAltium Designerを使い始めてから、開発プロセスの効率が平均で30%以上向上しました。「他のECADソフトウェアでは、基板ごとの設計プロセスに平均で約5〜6時間かかっていましたが、今ではほぼ即座に完了します。Altium Designerでは基板とコネクタの位置合わせを行って干渉の問題を低減できるため、マルチボードアセンブリがさらに簡単になりました。」

Altium DesignerがHarmonic Bionicsの成果に貢献したのはこれだけではありません。 

「基板の形状変更などのシンプルな作業がさらに簡単になりました。Octopartによって提供される広範な部品データベースにより、コンポーネントをフットプリントへ簡単に紐付けられるようになり、BOMの作成が大幅に簡素化されています。また、MCADファイルの生成だけなので、大幅に時間を節約できています。ツールがフォルダー構造を生成してくれるため、設計のエクスポートが非常に簡単で、プロセス全体がはるかに簡潔で効率的になっています。今、私たちの設計とBOMは非常に充実しています」とDuncan氏は締めくくっています。

Altium Designerでは、レビューのプロセスも大幅に簡便化されました。Bhashyam氏は次のように付け加えます。「ツールにアクセスすると、回路図全体を3Dで表示できる使いやすいviewerでデザインをレビューできます。表示もずっと簡単になりました。」

「基板の形状の変更などのシンプルな作業がはるかに容易になっています。MCADファイルを生成するだけなので、時間を大幅に節約できます。フォルダー構造の生成をツールに任せられるため、デザインのエクスポートも非常に簡単で、プロセス全体がはるかにわかりやすく効率的になっています。」

Harmonic Bionics
シニア ハードウェア エンジニア
Mike Duncan氏

本格展開に向けた準備

パンデミックが収束した後、Harmonic Bionicsはテキサス大学オースティン校のReNeu Robotics Labの枠を超え、リハビリテーション病院やリハビリテーションセンターへの主力ロボットの導入に積極的に取り組んでいます。

これらの革新的なシステムに対する需要が高まる中、Harmonic Bionicsはより多くの設計者を雇用し、Altiumソリューションを拡張していく予定です。

Bhashyam氏は次のように述べています。「プロジェクトが進むにつれて、コンポーネント管理にAltiumのテクノロジーをさらに活用することになるでしょう。Harmony SHRの商品化を開始すれば、Altium 365に大いに頼ることになるでしょう。」

Duncan氏は次のように付け加えます。「将来の設計では、Altium 365が間違いなく活用されるでしょう。また、フレキシブル設計でAltium Designerを利用し、軽量な筐体内で基板を小さく保ちながら、少ない配線でHarmonyの可動域を広げる予定です。」

また、同製品の生産が本格化すれば、Altium 365を共同設計に活用し、新しいチームメンバーと連携できるだろう、とDuncan氏は予測しています。包括的なPCB設計ソリューションを整備することで、可能性はほぼ無限に広がります。これは、世界中の大勢の患者にとって朗報です。

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