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Altium 導入事例

Skeleton Technologiesのスーパーキャパシタによるエネルギー貯蔵の変革

「当社ではハードウェアの開発にAltium Designerを活用しています。このツールは長年にわたって、ハードウェア開発のゴールドスタンダードであり続けています。」

Skeleton Technologies
ハードウェア エンジニアリングチーム マネージャー
Siim Pille氏

  • Altium 365は、導入1年目に技術者1人あたり159時間を節約できることが証明されています (詳細を見る)。この成功事例では、Skeleton TechnologiesがAltium 365を利用することで時間を節約しながらできるようになった業務をいくつか紹介します。 
  • Skeleton Technologiesは、Altium 365のデータ管理とバージョンコントロールシステムを利用して、チームのすべてのハードウェア設計データを1か所で安全に保存できるようにしました。
  • また、Altium Designerのインテリジェントなサプライチェーンデータ、プロセスベースの部品リクエスト、Altium 365のクラウドライブラリへのアクセスを通じて、コンポーネント管理のプロセスを合理化しました。

この10年間、バッテリー技術の進展は主にスマートフォンと電気自動車の要求によって推進されてきました。ところが、急速充電の速度は大幅に向上したものの、寿命という点でバッテリーには依然として問題が残っています。たとえば、リチウムイオンバッテリーは約500サイクル使用できますが、経年劣化するにつれて充電の頻度が高くなっていきます。この頻繁な交換の必要性は廃棄物の連鎖を生み出し、環境的に有害な鉱業や製造のプロセスへの世界的な依存を永続させることになります。

Skeleton Technologiesはこうした問題に対処すると同時に、スーパーキャパシタセルを利用する高出力エネルギー貯蔵システムを製造することで、新たなエネルギーの機会を切り開いています。同社の特許取得済み湾曲グラフェンは、従来のリチウムイオンバッテリーよりも優れた電力密度と高速充電を実現しています。これらの高度なエネルギーシステムは、自動車、輸送、船舶、産業をはじめとする幅広い分野の脱炭素化を可能にし、二酸化炭素排出実質ゼロの将来に向けて世界を牽引していくことになるでしょう。

スーパーキャパシタの力を活用

化学エネルギー貯蔵のメカニズムを利用するバッテリーとは異なり、Skeleton Technologiesのスーパーキャパシタには化学物質は一切使用されていません。この根本的な違いは、スーパーキャパシタの場合、時間の経過に伴う性能の低下という化学反応とは無縁であることを意味します。そのため、効率を損なうことなく、高電力の入力および出力の需要に応えることができます。

スーパーキャパシタは非常に安全で効率的なエネルギー貯蔵技術であり、効果的に利用するには最先端の電子機器が必要です。そうした電子機器は、スーパーキャパシタの容量、温度、電流を監視するために極めて重要であり、システムレベルでの情報に基づく意思決定を可能にします。

Skeleton Technologiesのハードウェアチームは、大規模なエネルギー貯蔵システムの中核となるコンポーネントとして、コントローラーとモジュールを開発しました。その実現にあたって、アルティウムとの連携の下でAltium DesignerとAltium 365を活用し、電子機器開発のワークフローを効率化することにしました。 

共同作業にまつわる課題の克服

包括的なエネルギーシステム向けのコントローラーとモジュールを設計するには、Skeletonのエレクトロニクスチーム、ファームウェアを作成するソフトウェア開発者、機構技術者、さまざまなクライアント アプリケーションチームの間のスムーズな連携が必要でした。

仲介者として混成チームに欠かせない存在だったエレクトロニクスチーム

「電子機器開発には主に2つの課題があります。1つは、電子機器の優れた管理と監視について設計するために、スーパーキャパシタセルそのものとそれらの動作に関してかなりの知識が必要になることです。そして2つ目は、クライアント アプリケーションについてよく知っておく必要があることです。基本的にエレクトロニクスチームはそれらを仲介する存在となります。」

Skeleton Technologies
ハードウェア エンジニアリングチーム マネージャー
Siim Pille氏

こうした共同作業関連の課題に対処するために、Skeleton TechnologiesはAltium 365のデータ管理とバージョンコントロールシステムを採用し、チームのすべてのハードウェア設計データ、コンポーネント ライブラリ、製造パッケージを1つの安全な場所に保存し、ブラウザを備えた任意のデバイスからアクセスできるようにしました。これは、ソフトウェア開発チームにとって特に有益であり、ブラウザで回路図にアクセスできるため、ファームウェアの同時開発が可能になっています。

「当社のファームウェアチームは、Altium 365を使って回路図を確認しているため、回路図を逐一ダウンロードして共有する必要がありません。アルティウムのソフトウェアをインストールしなくても、Altium 365に簡単にアクセスして最新バージョンの回路図を確認できます。これはクラウド上にあるため、これまでよりも作業が楽になっています。」

Skeleton Technologies
ハードウェア技術者
Jalal Sadigli氏

レンダリングされたプロジェクトファイルにブラウザベースでアクセス可能になったため、チームメンバーはECADソフトウェアをインストールしなくても、任意のデバイスから設計の測定、検索、クロスプローブ、コメントの追加を行うことができるようになりました。また、プロジェクトのコンテキスト内での設計に関するやり取りも容易になりました。コメントはデジタル処理で取り込まれて設計資産になるため、やり取りの内容が失われたり、間違った場所に保存されたりすることはありません。

「Altium 365は、すべての関係者にとって理解しやすいプラットフォームです。ファイルを頻繁に送受信したり、どれが最新なのかを伝えたり、使用できるものと使用できないものを説明したりする必要がありません。そのため、より効果的な共同作業が実現します。」

Skeleton Technologies
スーパーキャパシタ開発責任者
Morten Vaalma氏

コンポーネントの選定時における寿命の確保

製品のライフサイクル全体を通じて効果を発揮するエネルギー貯蔵システムを構築するには、製造業者から数年、あるいは数十年にわたって入手できるコンポーネントを選択する必要がありました。これに対応するために、Skeletonが必要としていたのは、インテリジェントな単一ソースのサプライチェーンデータへ設計時にアクセスできること、ライブラリに新しい部品を追加するためのプロセスが決まっていること、コンポーネントの保存と利用のためのリポジトリが一元化されていることでした。

Skeleton Technologiesは、一元化された安全な場所でコンポーネント ライブラリの整合性を維持するために、Altium 365のクラウドライブラリを利用しました。これにより、エンジニアリングからライブラリ、調達まで、設計に関わる各担当者が、検証済みの同じコンポーネントにAltium Designerまたは任意のブラウザからアクセスできるようになりました。

電子機器を設計する技術者向けには、Altium 365の製造業者部品検索機能が用意されており、300を超えるディストリビューターから提供されている10億点以上の部品データにAltium Designerから直接、アクセスできます。これによりチームは、部品の入手可能性に関するデータ、製造業者のライフサイクル、生産リスクの警告、代替部品選択などの機能を活用し、主要コンポーネントと代替コンポーネントを設計時に定義できるようになりました。

Skeleton Technologiesのように専任のコンポーネント エンジニアリングチームが設置されている組織にとっては、コンポーネント ライブラリの拡張と維持のために管理されているプロセスが不可欠です。Altium 365はプロセスベースの部品リクエストに対応しているため、ハードウェア エンジニアリングチームが新しい部品の作成をリクエストし、それらのリクエストの完了時にコンポーネント技術者が通知を受け取れます。また、プロセスワークフローエディターでは、特定の要件を満たすワークフローを視覚的、かつ柔軟に構築し、部品リクエストを管理するための簡単で効率的な方法を確保できました。

「アルティウムのおかげで、製品が生産段階に移る前に適切な部品を選択できるようになりました。そのため、今日や明日だけでなく、数年先も設計を確実に製造できるという見通しが持てます。」

Skeleton Technologies
スーパーキャパシタ開発責任者
Morten Vaalma氏

高電力の未来に向けて

Skeleton Technologiesは、最先端のエネルギー貯蔵システムの開発における大きな課題を克服するために、アルティウムとともに変革への取り組みに乗り出しました。チームはすでに目覚ましい成果を挙げており、高電力技術をエレベーターシステムに実装したところ50〜70%のエネルギーが節約されています。

Skeleton Technologiesのスーパーキャパシタ開発責任者であるMorten Vaalma氏は、同社の画期的な技術の今後の可能性について次のように述べています。「エネルギー貯蔵の点では、湾曲グラフェンの限界はまだ見えていません。材料の内部構造や電解質との相性をどのように最適化するかということを考えれば、スーパーキャパシタのエネルギー密度を押し上げる余地はまだ十分にあります。」

Siim Pille氏は次のように補足しています。

「省エネと再生可能エネルギーの統合の緊急性を踏まえ、Skeleton Technologiesは、お客様からの需要の高まりに応えられるよう事業を急いで拡大しています。意欲的な技術者を積極的に採用してチームに参加してもらい、その才能を気候変動と戦うために活かしてもらう予定です。ありきたりな言い方かもしれませんが、私は再生可能エネルギーとエネルギー貯蔵に関する進展に大いに期待しています。Skeleton Technologiesのメンバーとして、二酸化炭素排出ゼロの未来のバックボーンを作る分野の一員であることを私たちは誇りに思っており、ミッションの達成に向けて新しい仲間を積極的に迎え入れたいと考えています。」

Altium 365
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